日本国内ではあまり活発ではないものの、諸外国では雇用者に対して労働組合及び労働者が労働力を提供しないことで反対や抗議の意を示すストライキが珍しくありません。ストライキ危険は貿易において、このストライキに伴って荷物が損傷、窃盗などの不測の事態に陥った場合に協会戦争約款、協会ストライキ約款で補償を受けられる制度になります。

協会戦争約款はロンドン保険業者協会が設定した保険の条件で、1963年の旧協会貨物約款と1982年に新たに設定されることになった新協会貨物約款が主に用いられてきましたが、さらに2009年に最新のものも制定されました。このうちのどの約款を基準に補償をするかはそれぞれの保険会社の規定ごとに異なってきますが、主に使用されているものの他にも状況に応じて別の約款で対応することも可能です。

ただし、ストライキ危険による支払い対象外となる損害も少なくないため、利用の際には注意が必要になります。ストライキ発生による貨物運搬の遅れ、故意的な損害と判断されたもの、放射線などの汚染、輸送中ではない保管中の損害などが該当しますが、約款によっても対象に違いがあることから予め確認をしておくことが大切です。