IMPORTBUSINESS
輸入ビジネスとは
海外の見本市へ行く①〜渡航前の準備〜
海外の見本市へ行くことにしたら、事前に準備しておくことがあります。
ここでは、渡航前の準備についてお伝えします。
目次
まず英語の名刺と渡航費、サンプル購入費を準備する
企業の輸入担当者であっても、個人であっても、輸入ビジネスを始めるにあたり英語の名刺は必ず必要です。
企業に属している人は輸入担当であるということを明記し、個人の方は、名前の上に、「○○トレード」などの屋号を入れるといいでしょう。
個人名だけではなく、何らかの会社名や屋号が入っていた方が信用されます。
住所とメールアドレスは必須ですが、電話番号は何らかの理由で出られない人は入れない方が無難です。
電話番号を書くということは、連絡しても良いということです。連絡してもいつも繋がらないということは、信用を失うことにもなりかねません。
名刺ができたら、あなたは立派なインポーターです。
名刺があるだけであなたはどの国に行っても、大手メーカーからも信用されやすくなります。日本の見本市に行っても、海外の見本市に行っても、あなたは立派な輸入業者であり、あるいは輸入担当者の一人なのです。個人であっても、法人であっても同じです。
規模は関係ありません。大きくても小さくても、スタッフがいなくても構わないのです。
インポーターとは、商品を元の国から別の国へと仲介し、運び、販売する存在です。インボーターの名刺は、あなたがその橋渡し役を担いますよ、ということを証明する看板なのです。ですから、世界で通用する英文の名刺を作っただけで、あなたのインポーター人生は始まるのです。
後述しますが、語学の勉強は一切必要ありません(できるにこしたことはありませんが)。とりあえずは大きな資金も必要ありません。最低限、海外の見本市に商品発掘に行く旅行費と商品サンプルの購入費があれば始めることができます。海外出張によく行くサラリーマンの方や、法人の新規事業として始めるのなら、名刺だけで充分です。
関税や法律などの知識も、なくて大丈夫です。商品を輸入するのはプロの業者に任せることができますし、わからないことは教えてくれます。
商品発掘から、マーケティング、セールス、契約書の作り方、輸入方法などの基本的なセオリーは、関連記事にまとめています。手順どおりにやれば、輸入に関しては何の問題もありません。
ですから、輸入ビジネスを始めるにあたって準備するものは、とりあえず英語の名刺と少々の旅行費用とサンプル購入費、そして本書だけでOKなのです。
なお企業の担当者は、A4一枚程度の簡単なもので構いませんので、会社紹介用のプリントも準備しておくといいでしょう。
見本市のチケットを取る
海外の見本市に入場するためにはチケットが必要です。
チケットの取り方はとても簡単です。見本市のホームページから誰でも買うことができるからです。
代金は1日券だと約20~30ユーロ(日本円で約3000~4000円)。
会期が5日間の見本市の通し券だと、60ユーロ(日本円で約8000円)ほどです。
事前に申し込みをせずに行っても、記入事項を書き込み、料金を払えばチケットは買えます。しかし、事前に申し込むと安くなることが多いので、日本で事前にチケットを予約しておくといいでしょう。
最初のうちは、どの見本市に行けばいいか迷うかもしれませんが、まずは規模の大きい見本市に行くことをおすすめします。
小さい見本市だと商品の数が限られてしまい選択肢が狭くなるので、2000社以上の出展数がある見本市がお勧めです。日本でいえば、東京ビッグサイトの東と西のエリアを使った規模の大きな見本市です。それくらいの規模の見本市でなければ、わざわざ日本から行く意味がありません。
国際見本市を探すには、ジェトロ(日本貿易振興機構)のサイトがお勧めです。アジア、北米、欧州、海外の見本市が地域別に紹介されていて、すべて日本語で検索できます。
事前に日本のショップを回っておく
海外の見本市に行く前に、やっておいた方がいいことがあります。
それは、輸入品が数多く並ぶ可能性がある国内の店舗に行き、どんな商品が売られているかを見ておくことです。
例えば、東急ハンズやロフトなどを見て回っておくといいでしょう。あるいは近隣の百貨店などつぶさに見て回っておくのです。
定期的に、「この店」の「この売り場」をチェックするという「定点観測店」をいくつか持っておけば、現在、日本でどういうものが売れているか、どういう物が輸入されているかを知ることができますし、おおよその相場もわかります。
もちろん、好きなジャンルの物を重点的に見るべきです。すると、日本にまだ入っていない商品の独占販売権を獲得する際に、説得力のある話ができる可能性が高まります。
東急ハンズに10回ほど通ってから、海外の見本市に行ったAさんは「これハンズにないな」と感じた商品の独占販売権を獲得しました。
Aさんは日本の見本市にその商品を出展し、東急ハンズの担当者が来た時に、「私はお宅のお店が好きで良く行きますが、こういう商品は置いてないですよね」と話しかけたところ、その場で商談が成立したのです。
商談の場で「こういう商品は御社にはないですよね」と話せば、バイヤーは「この人うちのことをよくわかっているな」と感じ、信頼感を抱きます。
日本でどんな物が売られているかを見ておけば、海外での商品発掘に役立つのみならず、その商品を日本に売り込む時にも役立つのです。
特定の国に興味がある人は、貿易関連機関に連絡する
商品のジャンルではなく、特定の国や文化に興味があって、その国の商品を輸入したい、という人もいるかもしれません。
その場合は、大使館や商工会議所などの貿易関連機関に連絡するといいでしょう。全面的に協力してくれることがよくあります。
大使館には「商務部」という部署があります。この部署はいわば、その国のセールスマンです。大使館というとハードルが高いように聞こえるかもしれませんが、「こうした商品を売りたいので、何か良いものがあれば連絡してください」とお願いすれば、非常に喜ばれます。大使館の職員はほとんど日本人ですから、言葉の心配もする必要はありません。
大使館の商務部に事前に依頼しておけば、その国の見本市に招待されることもあります。
大使館から招待されると、渡航費から宿代まで全部負担してくれて、商談のアポイントまやってくれることもあるのです。もちろん、すべての滞在スケジュールがセッティングされ、がんじがらめになるという欠点もありますが、それだけ彼らは自国の商品や文化を日本人に知って欲しい、と熱心なのです。
特定の好きな国がある人は、大使館と仲良くしておくといいでしょう。特に、マイナーな国ほどライバルが少なく、より密な関係を築けられる可能性は高まります。
知人にブルガリア大使館の紹介で、ブルガリアのワインを輸入している人がいます。プルガリアワインと言っても、あまり聞かないと思います。日本ではほとんど輸入している人はいないのでブルガリア大使館の御用達になり、パーティでワインを振る舞ったりする時に重宝されています。さらには、日本国内のブルガリアショップを紹介してくれたりと、非常に友好的な関係を築いています。
事前に英語の勉強をする必要はない
意外に思われるかもしれませんが、輸入ビジネスに、語学はそれほど必要ではありません。
海外の見本市に出展しているメーカーの人たちにとってインポーターはお客様の立場で、「買いたい」という気持ちの人に対して、その国の言葉が話せないからといって「売らない」ということはまずありません。
逆の立場になってみてください。自分の商品を買ってくれようとする人に対して、「言葉がわかないから売らない」と言うでしょうか。むしろ、身ぶり手ぶりを総動員して、何とか意思の疎通をはかろうとしませんか。
これは海外でも同じです。
言葉がカタコトでも問題ありません。スマホには翻訳アプリなどもありますし、既に多くの人が活用しています。「英語の勉強をしてから行かなくては」などと身構える必要はなく、買い手として堂々と行けばいいだけです。
それでも心配な人のために、「見本市で必須の商談英語フレーズ」をまとめました。このフレーズを使うことができれば交渉の場では困りません。あなたがまずエネルギーを注ぐべきことは語学の習得ではなく、いかにして良い商品を見つけるか、だけです。