PRACTICE
輸入取引の実務について
取引先を決めるポイントは3C’s:信用調査をしよう
目次
信用調査で重要になる3つのC
取引先の候補が見つかったら、客観的に見て信頼して付き合える相手かどうかをチェックします。
これを信用調査と言います。
とはいえ、やみくもに情報を集めてもキリがありません。そこで3C’s(Three C’s)と呼ばれる項目を調査します。
性格(Character)
取引先の評判や信頼性、誠実さ
能力(Capacity)
技術力や営業力、売上高など、取引先の実績
資本力(Capital)
資本金や支払い能力などの状況
信用調査は個人でも可能
信用調査は、専門の機関に依頼する場合と、個人で行う場合があります。
信用調査を「帝国データバンク」など専門の調査機関に依頼する場合は、料金はそれなりにかかるものの、客観的な信用情報を短期間で手間なく得ることができます。
また、個人で行う場合は、その業界で働く人や、取引先候補と付き合いのある人から業界内での評判を得る方法があります。
相手の財務内容や支払状況などは、取引銀行から得ることができます。銀行がサービスの一環として行っていますが、深い情報までは得られないというデメリットがあります。
主観的な判断も忘れずに
取引先の信用度を客観的にチェックすることも大切ですが、相手が信頼できるかどうか、”あなた自身”の目で判断することが重要です。
その場合、何を基準にするかは人それぞれです。
私は、その業者が
・輸出の意欲を持っているか
・日本市場の法的基準を満たせるか
・要求する品質基準に応えられるか
を目安にし、これをひとつでも満たさない場合はあきらめるようにしています。そうでなければ長い付き合いはできないからです。
日本への輸出経験はあるか?
私の場合は、さらに「日本への輸出実績があるかどうか」を事前に確認します。
これは「ある」「ない」、両方に利点があるためです。
まず、実績がある場合、相手が日本の厳しい品質基準を理解しているため、説明の必要がありません。
また、海外では、「包装は破り捨てるもの」という考え方がありますが、日本では包装の質にうるさいため、そこでトラブルが発生しかねません。
こうした点も、過去に輸出経験があれば、改めて説明しなくて済むので取引がスムーズに進みます。デメリットは、輸出実績があるだけに、国内に取引相手が多いという点でしょう。
次に輸出実績がない場合は、品質基準に関する説明や、包装の質に関する話し合いなど、かなり根気のいる作業が必要です。
ただし、日本での競合がないため、独占販売権が取れるかもしれないという、大きなメリットもあります。