PRACTICE
輸入取引の実務について
【定価の決め方】国内販売の準備をしよう
目次
輸入原価の計算をして初めて定価が決まる
貨物の引き取りが済んだら、輸入に関する手続きは終了です。
ここから、販売の手順に移ります。
販売をするには値段を決めなければいけませんが、それにはまず、輸入原価(コスト)を割り出します。この作業をきちんとしなければ、儲けは出ません。
まずは輸入にかかったすべての費用を算出しましょう。
費用の合計は、貿易条件がEXWの場合、次のようになります
①工場渡し商品原価 (EXW金額) + ②輸出国内での諸経費(通関料、保険料、積み込み料、運送料など) + ③海上輸送費(運賃、保険料) + ④銀行関係費(手数料、保証料など) + ⑤輸入関税+⑥輸入諸経費(陸揚げ費用、輸入検査費、倉庫料、国内運搬費)+⑦輸入諸経費(通信費、管理費など) + ⑧税金
取引先に行ってサンプルを手に入れたりした場合は、その渡航費用も含めましょう。さらに、場合によっては、輸入代行料やコンサルタントフィーなどが加算されるかもしれません(*1)。
これらの総額を商品代金(工場渡し商品原価)で割って、出てきた数字(商品代金に対する総費用の割合)を、商品の単価にかけたものが、個々の輸入原価になります。
*1 輸入諸経費には、信用調査にかかった料金やマーケティングにかかった料金も忘れずに入れること。
外貨で契約した場合は円に換算する
円建て契約以外の場合は、円に換算しなくてはいけません。
為替レートはそのつど動きますが、基本的には円安気味に設定しておきましょう。
一度決めてしまった定価はなかなか変えられません。同じ商品の場合、最初は安く売ったものを、次の輸入で為替レートが動いたから高く売るということは難しいので、最初に定価を決める際に円安気味にしておけば安心です。
コストが出たら定価を決めよう
輸入原価が出たら、実際の販売価格、つまり定価を決めます。
定価を決めるには、コストプラス方式と、コストブレイクダウン方式の2種類の方法があります。
コストプラス方式
加算方式、または費用志向型とも呼ばれる方法です。総コストに輸入者、問屋、小売店のマージン(利益)を足していくという一般的なやり方(*2)ですが、市場の相場を無視した金額になることも少なくありません。この方法をとる場合は市場価格とのバランスを見ながら上乗せしていきましょう。
コストブレイクダウン方式
逆算方式、もしくは需要志向型と呼ばれる方法で、最初に市場(消費者)が満足するであろう価格を設定して、必要なコストを割り振っていくというやり方です。この方法だと、競合する商品より安く値段設定できますが、最初に価格ありきのため、期待する利益を得られないというデメリットがあります。
*2 輸入製品の価格は一般的に小売店40〜45%+問屋10〜15%+輸入業者15〜25%+メーカー15〜35%(仕入れ値)で構成される。販売に小売店を使う場合は、価格のほぼ半値がマージン。
自分と商品に合った販売ルートを見つけよう
実際に商品を販売する際には、販売する窓口が必要になります。
専門の卸売業者から小売店に流すルートや、直接小売店に流すルート、あるいは同じ業界の輸入業者のルートに商品を流すルートもあれば、通販会社に流すルートもあります。こういった業者を探すには、国内の展示会に出展したり、DMを送付したりして、積極的な営業をしましょう。
また、自分で販売する場合は、インターネットでオンラインショップを開くのが、一番良い手段だと思います。
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