インコタームズとは、国際商業会議所が定める貿易取引条件の解釈に関する国際規則のことです。

世界中の貿易業者が従う国際ルール

海外取引には、国内取引にはないさまざまな違いがあります。
国が違えばルールや取り決めが異なるのは当然です。
しかし、お互いがそれぞれ自国のルールを主張すれば、円滑な取引はできないし、貿易業もやりにくくなります。

そこで、国際商業会議所によって貿易条件に関する各国共通の了承事項や合意事項が決められました。 それがインコタームズ（INCOTERMS）です。

INCOTERMSは、International Commercial Terms（国際的商習慣）の略で、
世界中の貿易業者が従っているもので、事実上の国際ルールとなっています。
1936年に制定されて以来、不定期で内容が改定され、現在は、2010年に制定された「インコタームズ２０１０」が使われています。

インコタームズは、貿易の「取引条件」を決めたものであり、
具体的には、貨物（商品）のリスク負担の範囲と費用負担の範囲が決められています。
簡単に言うと、輸入者が海外から商品を輸入するのに、
海外の工場で作られた商品の送料をどの地点から持ち、
保険料を含めたリスクをどの地点から背負うか、という取り決めです。
貨物（商品）のリスク負担の範囲は、商品が損失を被ったときに

インコタームズで決められていること

輸出者（売主）と輸入者（買主）のどちらが責任をとるかを規定したもの。
費用負担の範囲は、輸送や通関、貨物保険にかかる費用を輸出者・輸入者のどちらが負担するかを決めたものです。

インコタームズでは、11項目の商品引渡し条件が、全4グループに分類されています。

インコタームズに規定されている貿易条件11項目

【Eグループ】・・・売主が自身の施設内で商品を引き渡す。引渡し後のリスクと費用は買主が負担。

1.EXW：工場渡し

【Fグループ】・・・輸出地の港（空港）で費用・リスクの負担が売主から買主に移る

2.FCA：運送人渡し
3.FAS：船側渡し
4.FOB：本船渡し

【Cグループ】・・・輸入地で費用の負担が売主から買主に移転する。一方、リスクの負担は輸出地で売主から買主に移る

5.CFR：運賃込み
6.CIF：運賃・保険料込み
7.CPT：運送費込み
8.CIP：運送費・保険料込み

【Dグループ】・・・売主が買主の元まで費用とリスクを負担する。

9.DAT：ターミナル持ち込み渡し
10.DAP：仕向け地持ち込み渡し
11.DDP：仕向け地持ち込み渡し・関税込み条件

インコタームズは法律ではない

インコタームズは法律ではないため、強制力はありません。
したがって、売主と買主双方がインコタームズを契約書に盛り込むことによって、 初めて効力が発揮されます。
また、当事者同士が合意すれば、内容を一部変えるなど、臨機応変に運用することができます。