財、あるいはサービスの取引価格を基準に税率を定める課税方式の事を従価税（ad valorem tax）といい、書面ではad val.と略されます。

日本国内において様々な品目に掛かる物品税が従価税ですし、消費税もそれに当たります。また貿易においても輸入関税の大半が従価税に含まれます。また国内で販売される課税物品の価格は課税標準として用いられ、これらを元に輸入関税の税率が設定されます。

従価税は課税物品の販売価格が上昇する程税収が増え、販売価格が下落する程税収が減るという特徴を持っています。その為、販売価格が上昇を続けるインフレーション時において有利な課税システムですが、逆に輸入品の価格が低くなると税収も減り国内産業保護の観点から見ると不利になる、あるいは輸入品の適正な価格を把握し辛いといったデメリットもあります。

一方、従量税は課税物品の価値に依らず、あくまでその数量や重量を基準として税率が決められており、従価税と対を成す存在となっています。課税物品の価値の上昇や下落に依らず税額が安定しているのがメリットで、有名なところでは酒税や砂糖消費税がこれに当たります。

ちなみに従価税と従量税を比較し、より税額が高い方を採用するという混合税という課税方式もあります。